4 筋組織の痛みの鑑別について
これまでは筋肉のコリについて述べてきましたが実際の臨床では筋肉の痛みにはもう二つの種類があるのです。
臨床上では9割がたが筋肉に老廃物(尿の成分)が溜まって固くなる現象なのですが、一割くらいの割合でコリ以外でも痛みが発生します。
実はこの鑑別を間違えますととんでもないことになりますので要注意です。
一つ目は筋肉のケガです。
筋肉のケガは捻挫、肉離れ、靭帯損傷などです。
患者さんは自分の症状の原因が分からないで来院されますので皆さん一応に痛みが走りますと筋肉を揉んで温めれば良いと思っているのですが、なかには靭帯が損傷していたり、肉離れをしている人もいるのです。
これらは激しい運動や、ぶつかったりしないとならないと思っている方が非常に多いのですがそんな事はありません。
筋組織は日々劣化しているのです。
輪ゴムを例えにすれば分かりやすいと思いますが。
輪ゴムは劣化したらどうなるでしょう?
何もしなくても段々と固くなって、少し伸ばしただけで切れてしまいますよね?
それとおなじ現象が筋肉にも起こるのです。
首の寝違えやぎっくり腰などのように急激に痛みが発生した場合がこの症例です。
またちょっと手を伸ばしただけ、くしゃみをしただけ、歯を磨こうとして前かがみになっただけ。。などで急に痛みが来るのも筋肉が切れているのです。
このように日常の生活の何てことない動作の中から筋肉のケガが起こりますので要注意です。
筋肉のけがの場合は指圧整体は厳禁です。
筋組織が切れていますので揉んだり、温めたりしたら悪化してしまいます。
当院でも整体などに行ってなかなか治らないとか悪化しているパターンは大体この症例なのです。
この場合は鍼で微小な傷を付けて白血球をケガの部位にまで呼び寄せて早急に治癒させるのです。
以前はケガの場合は冷やして安静にしているのが関の山でしたが、積極的に鍼治療を施すことで治癒を早めることが出来るのです。
二つ目は内臓疾患からくる筋肉の痛みです。
これは内臓の疾患からくる筋組織の痛みです。
特にガンなどからくる腰痛や背部痛が症例として多いのです。
最近では減りましたが以前では病院の検査にも行かないで来院される患者さんもいましたので非常に注意していました。
この症例は触診しただけでは分かりにくいのです。
この場合は進行性の疾患ですので鍼灸治療が効かないばかりか、症状が悪化していきます。
早急に病院での精査が必要な場合がありますので東洋医学の治療で長引かせるのは厳禁です。
他に特徴的な症状は夜間に痛くなる夜間痛がある、楽な姿勢がない、痛みが発生する姿勢がはっきりしない、 随伴症状がある(例えば下痢やベンピ)などを総合的に判断する必要があるのです。
内臓疾患が重篤な場合は病院の治療と並行ると効果が大きいです。
実は筋組織のコリと上記の二つの病態の区別をつけないととんでもないことになるのです。