子宮後屈とは?

子宮後屈は西洋医学ではあまり重要視はしてこなかったのですが、東洋医学的にみますと不妊、生理痛、子宮内膜症などの婦人科疾患(子宮卵巣疾患)のほぼすべてにわたってこの子宮後屈が原因となっていることが分かってきたのです。

この子宮後屈を治癒しない限り婦人科疾患(子宮卵巣疾患)はなかなか完治しませんので、じっくりと呼んでいただけたら幸いです。

まずは子宮の位置を確認してみましょう!!

子宮は横から見ますと前傾・前屈の状態で骨盤の中に位置しています。
前に膀胱、後ろに直腸が位置し、膀胱側に覆いかぶさるような形となっています。

横から見ますと下図のようになります。

子宮の位置がこのようになっていますと、まず生理の時に子宮内膜が膣から排出されやすくなります。

妊娠が成立しないと子宮内膜は膣から排出されますがこれは便通と一緒で上部にある腹腔からの腹圧が子宮底の部分にかかり、膀胱と挟み込んで上下から圧力をかけて膣側に排出するのです。

生理痛がない女性は子宮が正常な位置にあって子宮内膜がスムーズに体外に排出されるから不快な生理痛がないのです。



さらに、卵が受精した場合、受精卵が丁度上から降ってきて床落ちる形となりますので着床しやすくなります。


子宮が正常な位置にあると上記のような経過をたどりますので生理痛や婦人科疾患、不妊にはなりにくいのです。


では子宮後屈になるとどのような現象が起こるのでしょうか?

子宮後屈とは下図のように子宮が後ろの直腸側に立ったような状態になります。

子宮後屈となると大きな現象が三つあります。

1.子宮頚管が詰まってしまい、生理の脱落膜が排出されにくいので卵管側を通って腹腔に排出されてしまう。

2.子宮頚管が塞がった状態になるの精子が子宮に侵入できない。

3. 子宮内膜が立ってしまい、壁のようになるので着床しにくく、着床しても維持しにくい。

この3つについて順次説明していきましょう。


1.子宮頚管が詰まってしまい、生理の脱落膜が排出されにくい。精子が侵入できない。



子宮の位置が後屈になると子宮頚管が詰まってしまい、膣側に内膜が出ていかない状態となり、内圧が低い卵管側に排出されることになるのです。

子宮内膜の脱落膜は卵管を通過して卵管采から腹腔に排出されてしまいます。

卵管から腹腔に出てしまった脱落膜は子宮と膀胱の間(子宮膀胱窩)に溜まれば腹痛を起こし、子宮と直腸の間(ダグラス窩)に溜まれば腰痛を引き起こすことになるのです。

これが生理痛の原因となるのです。

東洋医学ではこの現象を汚血と呼んでいます。

この汚血が周囲の臓器との癒着を起こして血流を悪化させますので婦人科疾患最大の原因と言っても良いのです。

また脱落膜の細胞は通常は死んでいるのですが、活性化していると子宮内膜症や子宮外妊娠などの重篤な症状を引きおこすこともあるのです。

子宮後屈になりますと子宮頚管が塞がった状態になりますので精子が子宮内に侵入しにくい状態も引き起こします。
不妊の大きな原因となります。



2.子宮内膜が立ってしまい、壁のようになるので着床しにくく、着床しても維持しにくい。



子宮後屈は子宮が立ったような状態になりますので、受精しても子宮内膜が立っている壁のようになりますので着床しにくくなり、着床しても妊娠を維持できにくくなるのです。

 

それでは何故子宮が後屈するのでしょうか?

この原因をしっかりと理解していれば不妊を始めとした様々な女性器疾患に劇的な効果を期待できるのです。

まず子宮が図のように前後左右の靭帯によって固定されている事を理解していただきたいのです。
子宮の前には膀胱子宮靭帯 横には基靭帯、そして後ろには仙骨子宮靭帯で繋がれて固定されているのです。

この事を念頭において子宮後屈が起こり、骨盤内臓器が病気になる原理を順を追って説明いたします。


①姿勢が悪いために仙骨が後方に変異する

②仙骨子宮靭帯に引っ張られて子宮が後屈する

③子宮が後屈すると子宮内膜が膣から排出されにくくなる。

④排出されにくくなった子宮内膜は内圧が低い卵管を通って腹腔に排出されてしまう。

⑤腹腔に排出された生理血は周囲の臓器を癒着させてしまう。(この生理血を汚血と呼んでいます。)



汚血が腹腔に入ってしまうことで子宮卵巣の血流が著しく悪化しますので考えられる疾患



・早発卵巣不全
・黄体機能不全
・子宮内膜症
・卵管狭窄・閉塞
・卵管采周囲癒着(ピックアップ障害)
・卵子の質の低下 
・染色体異常
・大腸や小腸の機能も低下しますので便秘や下痢
・栄養が小腸で十分に吸収されないといった現象も考えられます。
・前方の膀胱を圧迫して排尿障害の原因にもなります。

盤内の血流が著しく悪化しますので骨盤内臓器の全てに疾患に関係していると思われます。




仙骨の位置を正常に戻せば子宮後屈は改善する

子宮後屈は仙骨が後方変異することによって仙骨子宮靭帯が引っ張られて子宮自体を後方にのけぞらせるのです。
この仙骨を正常の位置に戻すことによって子宮後屈は改善し、骨盤内の血流は劇的に好転するのです。


現代人は座った姿勢が悪くて図のように仙骨が後方変異しやすいのです。

治療としましては下図の仙腸関節に鍼治療をして後仙骨靭帯を緩めます。


次に整体で仙骨を前方に押し込めます。
仙骨を上から抑え込みますと下腹部に圧迫感を感じますと大量の汚血が溜まっていると思って間違いないです。


骨盤内に汚血が溜まっていますと早くて次の生理のときに大量の出血をして汚血を体外に排出されます。
子宮が正常な位置に戻り、お腹の中に溜まった汚血を排出できれば不妊なども解消されますし、上記のような疾患も改善されていくと思われます。