症 状 と 原 因


顔面神経麻痺とは?


顔面神経は笑ったり、口を尖らせたりする様々な顔の表情を作って いる表情筋と呼ばれる筋肉を動かす働きをします。

表 情筋 は顔の片 側に20個ほど存在し、両側に対称的に並んで います。

顔面神経がなんらかの原因で傷害されると表情筋が動かなくなり顔面神経麻痺となります。

通常、麻痺は片側の顔面に起こるため、笑ったりすると顔がゆがんでしまいます 。

顔面神経麻痺 には痛みは伴いません。

痛みがあるものは 三叉神経痛 として区別しています。




顔面神経麻痺の症状

1.眉毛下垂(びもうかすい)

眉毛を吊り上げている前頭筋の麻痺で起こります。
両方の眉毛の高さが違ってしまうので、顔がゆがんで見えます。
また、上まぶたの皮膚もたるむので物が見難くなります。

2.麻痺性兎眼(とがん )

目を閉じる働きをしている眼輪筋が麻痺するため、目が閉じられません。
角膜・結膜が乾燥し目 が痛くなり、石鹸などで洗顔もできません。
ひどい時には角膜が 潰瘍を起こし混濁してしまいます。
機能的には失明というもっとも重大な障害を起こします。   

3. 笑いの表情

笑った時に顔が 健側(けんそく)にひきつれてゆがんでしまいます。
容貌上、患者さんが一番気にする表情の異常です。

4.口の麻痺

口を尖らせないのでストローなどがうまく使えません。
下くちびるの麻痺では、口がゆがんで見 えます。



顔面神経麻痺の原因

顔面神経麻痺を起こす原因にはウイルス性のもの筋肉性のものがあります。

一番多いのは、 ヘルペスウイルス による感染で顔面神経が破壊され麻痺が起こるベル麻痺とハント症候群です。

中でも単純性ヘルペスウイルスの感染が原因で起こるベル麻痺は、全麻痺患者さんの約60%、水痘疱疹(すいとうほうしん)ウイルスの感染が原因で麻痺が起こるハント症候群は15~20%と、統計的に顔面神経麻痺の80%近くがこの両者で占められます。

これらの原因の場合は西洋医学で治るものですので鍼灸の適応ではありません。


鍼灸治療の適応症は筋肉性のものです。


これは主に顎周囲の筋肉が硬くなって顔面神経の出口(茎乳突孔)から顔にかけての神経を圧迫してしまい、麻痺が起こるものです。

原因は歯の食いしばりが大きく影響しているものと思われます。

首の最大の筋肉である胸鎖乳突筋の影響も大きいです。


顎関節の異常も顎周囲の筋肉を固くする!!

顔面神経の出口は解剖学的に見ても顎関節に非常に近いので顎 関節の異常が原因の場合が多いのです。

最初に顎周囲が痛くて 次に耳の後ろあたりが痛くて顔周辺がマヒしてくる場合があり ます。

中でも 長年、顎がガクガクしたり、あごが開きにくいなどの顎関節症を患っていますと顔面神経麻痺にもなりやすいので要注意です。

しかし、大多数の患者さんは顎に異常を感じま せん。

かみ合わせの異常や、歯ぎしりなどの習慣でじわじわと 顎関節周囲の筋肉が固くなってきます。

そして気づいたら顔面 神経麻痺が発症しますので非常に厄介なのです。