何故治りにくい病気があるのか?

色々な病院に廻っても病気がなかなか治らない患者さんが大変多くいます。
なかにはもう持病だから治らないと諦めている方も多いのです。
当院では様々な疾患に対応していますが、その臨床の中から分かってきたことがあるのです。

病気が治らないポイントをいくつかに分けて説明していきたいと思います。

1 体の不調が筋組織のコリから来ていないか?
2 そもそも病気の診断が間違えていないか?
3 診断が合っていても治療する場所ツボが間違えていないか?
4 治療する場所ツボが合っていても刺激量が足りているのか?
5 上記の問題をクリアしていても、治療回数が足りているのか?

これらの問題を全てクリア出来るには膨大な臨床体験が必要となるのですが、昨今では整体などでは短期間で開業出来る為、なかなか分かっている先生も少ないのです。

患者さん側はどの先生も同じように思っていたり、先生だから何も言わなくても分かっているんでしょ?などと感じている人も少なくないのですが、実際には治療の腕には雲泥の差があるのです。

1 体の不調が筋組織のコリから来ていないか?

この問題は筋組織のコリの章で説明したとおりです。
詳細は筋組織のコリの章を参照してください。



2 そもそも病気の診断が間違えていないか?


患者さん側からすれば、診断を間違えるなんてありえるのだろうか?と耳を疑うでしょうが、以外と多いのです。

なかなか病気が治らないと言って当院を訪れる患者さんの中で一番多い理由がこれです。

医師などの診断を絶対視する方などはこちらの診断とあまりにも違う為に訝しがる人もいるくらいですが、結果として治ってしまうと皆さん認めざるを得ませんので、脱帽して頂けます。

一番多いのが腰の痛みを訴えた場合に病院の診断では腰椎のヘルニアと言われるパターンです。
しかし実際にヘルニアは数ある腰痛の種類の中での1つのパターンに過ぎないのです。

当院を訪れる患者さんで多いのが骨盤や股関節痛由来の腰痛が多いのですが、この場合ヘルニアを起こしている腰椎(腰の骨)を治療しても一向に治らないのです。

足の痺れがある場合でも、坐骨神経痛と診断して必ずと言っても良いほど腰に原因を求めますが、実際の臨床ではお尻の下の梨状筋に異常がある場合が多いのです。

このパターンでも散々腰の骨を治療して治らないと言って来院される患者さんが多いのです。

このように病気の診断名が違っていると全く治らないのです。


3 診断が合っていても治療する場所ツボが間違えていないか?


診断名が合っていても治療する場所(東洋医学ではツボ(経穴)と呼んだりしています)が間違っていますと治らないのです。

これも患者さん側からすると信じられないかも知れませんが、治療するツボは本当に難しいのです。

そもそも病変のある場所は筋肉の硬結が見られます。

東洋医学ではこの硬結をほぐして柔らかくする事で神経や血管への圧迫を取り除き、痛みや痺れを取るのですが、この硬結の位置が数ミリ単位で変化しますので非常に難しいのです。

当院に来院される患者さんでも、診断名は合っているのですが治療する場所が微妙に違っていたりして治らない患者さんか多いのです。


3 治療する場所が合っていても刺激量が足りているのか?


これは治療する場所がたとえ合っていても、治療の刺激が足りないという問題です。

西洋医学の薬物治療や、手術治療は化学的な変化で病気を治そうとするものです。

それに対して鍼灸、整体、マッサージ、整骨院、エステなどの手技療法は患者さんの身体を押したり、刺したりの機械的な刺激により、血流を促進して患者さん本来持っている自然治癒力を引き出して治そうとするものです。

この機械的な刺激で血流を促進するとしたら、鍼で刺す以上の刺激があるでしょうか?
指圧マッサージ整体などでどんなに強く揉んだり、整骨院で強い電気治療をしても、その刺激は人体内部にまでは届きません。せいぜい数センチ下くらいでしょうか。これでは何十回何百回治療しても治療の刺激が患部にまで届きませんので治癒して行かないのです。

それに比べて鍼治療は1センチから10センチくらいまでの深い位置にまで刺激が到達しますので深層の組織に病変があっても刺激が届くのです。

更に筋の硬さの問題もあるのです。
筋肉に老廃物が溜まりますと固くなって行きます。
この固くなった筋肉を柔らかくするのですが、この固さも比較的柔らかくてゴムのような固さから、カチンコチンになって骨のような硬さにまでなるものもあるのです。
マッサージや指圧などの手技などでは比較的柔らかいコリにしか対応出来ません。それに比べて鍼治療は細い鍼から太い鍼までありますので、刺激量としましたら無限にあります。

アキュレ鍼灸では鍼の太さが0、2ミリから一ミリまでの太さの鍼を取り揃えています。一ミリの鍼はほとんど釘に近い太さになりますが、これくらいの太い鍼でないと対応出来ない患者さんも居るのです。

4 治療回数が足りているのか?

治療回数は患者さんにとっても大変重要な問題となります。

何回位で直るのでしょうか?とよく質問されるのですが、それは全く分かりませんとしか答えようがありません。

私自身は最短で治しますと説明します。
鍼灸治療は鍼の刺激で老廃物を排出することなのですが、そもそもどれくらいの量の量は異物が筋組織にあるのか?
深さはどれくらいなのか? 患者さんの代謝は?などが我々にはやってみなくては分からないからなのです。

老廃物はレントゲン上にも映りませんから重症度が判定のしようがないのです。

つまり病気の重症度は次の要因で決まると思います。

1 コリがどのくらいの量溜まっているのか?
2 コリの位置がどれくらい深いか?
3 患者さんの老廃物排出能力は?
4 治療家の腕

1 コリがどのくらいの量溜まっているのか?

コリは筋肉に溜まった老廃物の事ですが、この量が問題となるのです。
コリは量が多くなると密度が高くなり、凝縮しますのでどれくらいの量が溜まっているのかが分からないのです。

2 コリの深さは?

コリの量が例え多くても深さが比較的浅くて体表近くですと、マッサージなどの手技で改善するのですが、コリが深い位置に入りますと鍼治療でなければ治りません。

3 患者さんの老廃物排出能力は?


患者さんの自然治癒力とは筋肉中に溜まった老廃物をスムーズに体外に排出出来るかに掛かっています。

この老廃物を体外に排出する能力は個人差が激しいです。

鍼灸治療に来る患者さんはなかなか筋肉中の老廃物を排出出来ません。

ですから筋肉のコリとなってしまい、固くなってしまうのです。

筋肉が固くなりますと疲労が溜まりやすくなりますし、ケガの元にもなりやすいのです。

スポーツの世界でプロになったり、オリンピックに出場できるような人は筋肉中の老廃物を速やかに体外に排出出きるために、どんなにハードトレーニングを積んでもケガや疲労をお越しにくいのです。

こういう体質が所謂身体的な能力ですので、後天的には獲得出来ないものなのです。運動神経だけでは一流の選手になれない所以がこの老廃物排出能力が低いためなのです。


4 治療家の腕


患者さん側からしますと治療家の腕はみんな一緒だと思っているかもしれませんが、そんな事はありません。

マッサージや整体の手技療法ではそんなに差がないかもしれませんが、鍼治療は人体内部に鍼を刺すわけですから大変難しいのです。

治療箇所、鍼の太さ、長さなど様々な患者さんに合わせなければなりません。

その為に多くの臨床体験を積まなければなりません。

実は鍼灸治療の教育の中でこの臨床体験が一番問題なのです。

西洋医学では医学部を卒業した後にインターン制度により全ての学生に一定の臨床体験が積めるのですが、鍼灸治療にはそれがありませんので自分で先生を探して経験を積まなくてはなりません。

更に鍼灸治療は西洋医学のように理論が統一されていませので、各先生方の治療理論が全く違ったりするのです。このような事から先生方の腕にもの凄い差が出るのです。


以上の4つの要因で治療回数が決まって来ます。

なかなか治癒しない患者さんは上記の条件にあっていても治療回数が足りない可能性があります。
他人と比較して、これくらいで直るだろうと患者さん自身で治療回数を推測する方がいらっしゃいます。
治らないとすぐに治療院を変更するかたもいらっしゃるのである程度治療に時間をかけないと結果が出ないときもあるのです。
これだと思った治療院に出会ったらトコトン通うのが治癒への最短の道なのです。