血中ホルモン値が正常なのに何故妊娠しない?
不妊検査の中で血中ホルモン値(女性ホルモン)という検査があります。
この値が異常値を示しますと様々な不妊症の原因が分かることがあります。
ところが当院に訪れる不妊症の女性のほとんどはホルモン値が正常と言われます。
女性ホルモンの値が正常なのに何故妊娠しないのか?
長年疑問に思っていたのですが、汚血理論で鍼灸治療をすれば妊娠しますのでこの問題を深く考えることがなかったのです。
そんなおりに別の婦人科疾患の本を読んでいたら偶然その答えに行きつきました。
それが「ホルモン受容体感受性低下」です。
ホルモンは下垂体前葉から出て血液中を流れて各細胞まで到達しますが、当然各ホルモンごとに働きかける細胞が違います。
この区別をしているのが受容体です。
女性ホルモンが作用するのは卵巣や子宮です。
他の臓器には作用しません。
この事から女性ホルモンだけを受け取る受容体が細胞にあるのです。
この受容体にホルモンが合体したときに細胞に命令が行き、卵胞の発育を促したり、子宮内膜を増殖したりするのです。
通常ならスムーズにホルモンが各細胞に命令を下すのですが、この受容体の感受性が鈍るとき、つまりホルモンが合体してもうまく働かなくなることがあるのです。
受け皿となる受容体の機能障害があると細胞にうまくホルモンの作用が働かなくなるのです。
これがホルモン受容体感受性低下という現象です。
これは病気ではないので薬で治せる問題ではなく血流障害による酸素不足による機能低下です。
ですから鍼灸治療の適応となるのです。
子宮卵巣については「汚血」が血流障害を起こしていますので通常通り「汚血解消の鍼治療」をしていればこの問題も解決できて妊娠が出来たわけです。
「ホルモン受容体感受性低下」が女性ホルモンが正常なのに妊娠しない原因だったのです。