子宮の位置異常について

みなさんは子宮の位置が動くってご存じですか?

有名なのが「子宮後屈」といって、子宮が後ろ側に立ち上がってしまう状態なのですが、その他に「子宮過前屈(子宮下垂)」といった状態もあります。

後屈でも過前屈(下垂)でも子宮が正常な位置に収まっていませんと次の3つの現象が起きます。

1.受精卵が着床しにくい

2.子宮頚管が詰まってしまい精子が侵入できない。

3.生理の経血が逆流してしまい汚血の原因となる。


この3つを詳細に説明していきたいと思います。
汚血との関連性も高いので参考にしてください。



子宮卵巣の位置

まず最初に子宮と卵巣の正常な位置を確認しておきましょう。

子宮は骨盤内にあって前に膀胱、後ろに直腸があります。


子宮は前傾・前屈の状態で丁度、膀胱に覆いかぶさるような格好になっています。
真横から見ますと下図の様になっています。


このように子宮が正常な位置に収まっていますと当たり前のようですが次の三つの現象があります。

1.生理痛がない
2.受精卵が着床しやすい
3.精子が侵入しやすい。

このことはどんなことを意味しているのかを順次説明していきたいと思います。

子宮の位置が正常だと生理痛がない

子宮の位置が正常ですと、まず生理の時に子宮内膜が膣から排出されやすくなります。

妊娠が成立しないと子宮内膜は膣から排出されますが、これは便通と一緒で上部にある胃腸からの腹圧が子宮底の部分にかかり、膀胱と挟み込んで上下から圧力をかけて膣側に排出するのです。

生理痛がない女性は子宮が正常な位置にあって子宮内膜がスムーズに体外に排出されるから不快な生理痛がないのです。



子宮が正常な位置にあると着床しやすく、精子が侵入しやすい

子宮が正常な位置にありますと子宮内膜は下の位置にありますので上から受精卵が降ってきて床に落ちる形となりますので着床しやすくなります。

また子宮頚管が開いていますので精子が侵入しやすくなっています。

上記の事は当たり前のように思うかもしれませんが次から話す子宮後屈と子宮過前屈(下垂)の話を理解するとなるほどと思っていただけるかもしれません。

子宮の位置異常について

1.子宮後屈について


子宮が後屈しますと下図のように子宮が立ったような状態になりますので、受精しても子宮内膜が立っている壁のようになりますので着床しにくくなり、着床しても妊娠を維持できにくくなるのです。



2.子宮過前屈(子宮下垂)


子宮が過前屈(下垂)しますと下図のように子宮底部のほうに受精卵が落ちてしまいますので受精しにくいのです。



子宮位置異常で起こる他の二つの現象

更に子宮が後屈でも過前屈でも位置異常を起こしますと次のふたつの現象が起こると考えられます。

1.子宮頚管が塞がってしまい、精子が侵入できなくなるのです。


2.子宮内膜が体外に排出されずに骨盤内に排出されてしまう。

このことは汚血の原因となりますので汚血の章も参照してみてください。



以上のように子宮が正常の位置にありませんと精子は侵入しにくく、生理の血が逆流してしまい、たとえ受精しても着床卵は着床しにくくなるのです。

それでは何故子宮の位置がずれるのでしょうか?


何故、子宮の位置がずれるのか??


まず初めに子宮はどのように保持されているのかを見ていきたいと思います。

子宮は下図のように前後左右の靭帯によって骨盤に固定されています。

子宮の前には 膀胱子宮靭帯円靭帯、横には 基靭帯、そして後ろには 仙骨子宮靭帯 で繋がれて固定されているのです。

卵巣は子宮との間を固有卵巣索、骨盤との間で卵巣提で繋がっています。

子宮卵巣はこのように膀胱と直腸との位置関係になっており、骨盤によって靭帯のロープで中空に浮いた状態で固定されていると思ってください。



ここで子宮にとって一番問題になるのが仙骨子宮靭帯と円靭帯です。

子宮後屈の場合

現代人は姿勢が悪いために骨盤が歪んでいる人が多いのです。
パソコンやスマホの発達でちょうど下図のような姿勢を取ることが多いのです。

この時に骨盤ではどんな現象が起きてるのかと言いますと仙骨が後方にずれてしまっているのです。
仙骨とは後方からみますと下図の骨となります。

左右に腸骨(一般的には骨盤)と仙腸関節で繋がっていて、背骨の土台となっている非常に重要な骨です。

人間はこの仙骨でバランスをとって生きているのです。

この仙骨が姿勢が悪いと下図のように後方に歪んでしまうのです。

仙骨が後方に歪むと仙骨子宮靭帯に引っ張られて子宮が後屈になってしまうのです。


 

子宮過前屈(下垂)の場合

子宮過前屈(下垂)のばあい、子宮の前方を維持する円靭帯が前方に引っ張られてしまうからです。

円靭帯は鼠径部に付着していますので、重要なのは股関節の位置です。

子宮過前屈(下垂)の患者さんに多くみられるのが股関節の前方変位と言って股関節が前方に出てしまっている状態です。

上図のように股関節が前方に変位しますと円靭帯が前方に引っ張られて下図のように過前屈となるのです。


このことによって子宮内膜の位置が正常な位置にないので受精卵は着床しにくくなるのです。

また子宮自体が前後に動いてしまうことによって子宮頚管が塞がるような構造になりますので、精子が侵入しにくくなったり、生理の血が排出されにくくなるので汚血の原因ともなるのです。

このように子宮の位置異常によって様々な不妊の原因を生み出すことになるのです。

子宮の位置矯正

それでは子宮の位置を正常にするためにはどうしたら良いかと言いますと、子宮後屈の場合は仙骨の矯正を、過前屈の場合は股関節の矯正を施せば良いのです。

子宮後屈の場合

仙骨の位置を改善する仙骨の位置を正常にするのは仙腸関節を緩める必要があります。

そのためには仙腸関節のつなぎ役である後仙骨靭帯を鍼治療で柔らかくしなくてはなりません。

同時に股関節と仙骨上の筋肉も鍼で治療する必要があるのです。

画像ですと見にくいかもしれませんが下図のような位置に鍼治療を施します鍼治療をした後に仙骨を正しい位置にはめ込むような整体治療も行います。



子宮過前屈の場合

子宮過前屈の場合も鼠径部に鍼治療を施してから下図のような整体で股関節を正常な位置に戻します。



このように子宮を正常な位置に戻さない限り不妊体質は改善されませんので早急に体質改善に励んでください。

なかなか理解するのが難しいと思いますので詳しく説明を聞きたい方は遠慮なく無料説明会にお越しください。