コリをほぐせば病気は治る
鍼灸治療はコリをほぐす医学なのです。
世の中には痛みや痺れなどの体の不調があっても病院では異常なしと判断されたり、たとえ診断名がついても痛み止めや安定剤などの薬や電気治療などの対症療法で体調が改善しない人が多いのです。
これらの事を西洋医学では一般的に不定愁訴という言葉で片付けて、主に自律神経やホルモンバランスの影響だとして心療内科への受診を勧めて終わりです。
生活においても生活習慣の見直し(早寝早起き、食事の見直し、睡眠時間の確保)やストレスの解消というありきたりな方法しか頭に浮かばないのが現状です。
そもそも論ですが生活の見直しやストレスは日々の仕事や人間関係に直結しているためにそうやすやすと環境を替えれるわけはないのです。
「仕事を休めば治るよ」と言った先生がいますが、そんなのは当たり前で仕事を休むと生活が出来ないから受診しているのに本末転倒な話になるのです。
では何故西洋医学での精査で異常がないのに体の異常(不定愁訴)が現れるのか?

その答えは筋肉の「凝り」にあるのです。
東洋医学では筋肉の「凝り」というものが不定愁訴に影響を与えると考えるのです。
そこで筋肉の「凝り」とは何なのか?
その事が体に及ぼす影響を考察していきたいと思います。
筋肉が「凝る」とは?
筋肉が凝るとはどういう現象でしょうか?「凝り」とは筋肉中に老廃物が溜まって固くなってしまった状態の事を言います。
では本来柔らかい組織の筋肉が何故固くなるのでしょうか?
筋組織のコリ現象は人体の生命活動に深くかかわる問題ですので、まずは人間の代謝について理解する必要があるのです。
生物は酸素を肺から吸収し、栄養を食べ物から吸収します。
吸収された酸素と栄養分は血液を通して各細胞に送り、各細胞は送られてきた酸素と栄養分でATP(アデノシン三リン酸)を作り生命活動を行います。
生命活動を行った細胞は生命活動の結果出た老廃物を排出します。
二酸化炭素は吐く息から排出され、その他の老廃物はリンパの流れに乗って腎臓に行き、尿となって排出されます。
これを代謝と言います。
この代謝がスムーズに滞りなく行われていれば理論的には病気にはなりません。
問題なのは生命活動を行った後に排出される老廃物がスムーズに体外に排出されないことです。
ここでいう老廃物とは代謝の過程で出されるゴミみたいなもので、尿酸、乳酸、クレアチン酸などが代表例です。
言ってみれば「尿」と同じ成分です。

老廃物がうまく流れないと筋肉中に溜まってしまい、硬くなってしまうのです。
この筋肉に老廃物が溜まって固くなる現象を東洋医学では「凝り」と表現している のです。
老廃物が肩に溜まれば肩こりになり、腰に溜まれば腰痛になります。
下腹部に溜まれば不妊になり、顔に溜まれば老け顔になるのです。
東洋医学で言うところのツボ(経穴)とは筋肉が凝りやすい箇所の事で、老廃物が溜まりやすい箇所の事を言うのです。
硬くなった筋肉が神経や血管を押さえてしまい、痛みや痺れなどの不調を引き起こすからなのです。
これを西洋医学では「絞扼障害」と呼んでいるのですが、この「絞扼障害」に対する決定的な治療方法が存在しないのです。
肩こりなどに代表されるコリ症状は西洋医学の診断では病気と認定されませんので西洋医学では対処できないのです。
ではどうしたら良いのかと言いますと老廃物をリンパの流れの載せて血液中に戻し、腎臓まで持って行き、体外に排出すれば筋肉は元の柔らかい状態に戻って神経や血管の圧迫が解放されて痛みや痺れから解放されるのです。
このためには「凝り」に物理的な刺激を加えるしかないのです。
物理的な刺激とは指圧マッサージなどの手技や電気治療などもありますが、何といっても直接的に刺激を加える鍼治療が最強なのは言うまでもありません。

西洋医学では筋肉の「凝り」を病気とは思わない。
よく患者さんから病院では何故「凝り」の事が分からないのですか?と聞かれます。これは何故かと言いますと医師は病気を治す勉強を医大でしているのです。
「凝り」からくる様々な不定愁訴は病気ではないからです。
病気とは簡単に言えば細胞が変化してしまっている状態の事です。
ガンとか骨折とかです。
筋肉の「凝り」はそれ自体が病気ではありませんが、そのま放っておくと血流障害から病気に発展します。
言わば病気の前駆症状みたいなものです。
ですから検査にも画像診断でも引っかかりません。
いわゆる病気になってからが医師が本領を発揮するのです。
ですから病院で異常なしと診断されたら、ほぼ全てが筋肉の「凝り」による絞扼障害と思ってください。

筋肉は何故凝るのか?
では、筋肉が凝る原因とは何でしょうか?人間は生きている過程で代謝産物の老廃物(二酸化炭素、尿、便)を排出していることは先ほど述べたとおりです。
この老廃物がスムーズに体外に排出されないと筋肉中に溜まって硬くなって「凝り」となるのですが、その原因はズバリ次の4つです。
1.姿勢が悪い
2.運動不足
3.ストレス
4.古傷
1.姿勢が悪い
筋肉が凝る原因の一番は何といっても姿勢が悪いことでしょう。昨今ではパソコンやスマホを操作する時間が長く、どうしても同じ姿勢をすることが強いられます。
姿勢が正しければまだ良いのですが、悪い姿勢のままだと血流が悪くなり、老廃物が溜まりやすくなるのです。
脊椎骨盤矯正の話はあとで詳細に述べますが、今は図のような背骨が猫背になってしまい、骨盤が後方変異(でっちり)になってしまう姿勢が多いのです。
骨盤が後方変異しますと便秘、生理痛、不妊症などの原因になります。
脊柱が歪みますと 胃、心臓、肺などの臓器にも影響しますし、頸椎が歪むと肩首が凝ってしまい、脳へ血流が阻害しますので自律神経失調症や頭痛を併発致します。
骨盤や脊椎を正しい位置に戻すだけで血流は劇的に改善し、凝りにくい体質に変わることが出来るのです。

2.運動不足
血流が悪くなる第二の原因は運動不足でしょう。運動をして心拍数がある程度上がることにより、血流が早くなります。
通常ですとユックリと流れている血液が運動して心臓に負荷をかけることにより、心臓のポンプ機能が上昇し、流れが速くなるのです。
川の流れに例えますと、下流域のようなゆっくりとした流れが上流域のような激流になるのです。
血流が早くなることで滞っていた老廃物を速やかに腎臓に送ることが出来、体外に排出できるのです。
今や車の普及で田舎の人ほど運動不足になっています。
どこへ行くにも車を使用するため歩かなくなっているのです。
東京などの大都市の人ほど電車やバスを使用する頻度が高いのでよく歩くと思われます。
運動と言っても何も難しい事をしなくても良いのです。 少しの距離でも歩くことを心掛ければ血流は改善致します。
家を出るのが嫌なら、ヒンズースクワットと腕立て伏せだけで全身の筋肉を使いますので血流改善に役立ちます。
少しずつでも毎日のちょっとした努力が体質改善につながるのです。

3.ストレス
現代人のストレスは我々昭和の人間からすると比べ物にならないくらい大きいのです。私自身若い人たちのストレスの凄さを見誤っていました。
仕事や人間関係のストレスは一瞬で血液を酸性化してしまい、血流を悪化させます。
血流を悪化させますとまず老廃物が排出されなくなって「凝り」を発生させます。
ストレスはまず肩首に現れます。
嫌なことがあると肩首をすくめますよね。
肩首をすくめると緊張して筋肉に大量の「凝り」が発生します。
内臓などの不調にも現れます。
ストレスの根本は患者さんの人生に深くかかわってきますので我々が関与すべき問題ではないのですが、肩首こりなどの体の不調を改善することにより、ストレスの強い体つくりを目指せるのです。

4.古傷
傷跡や手術痕なども組織を固くしてしまいますので血流が悪くなり、コリの原因となってしまいます。一番有名なのが 首のむち打ち症 でしょう。

むち打ちは首の靭帯を思いっきり伸ばして、損傷してしまう疾患です。
交通事故だけでなく、転んだり、急に抱き着かれたり、ジェットコースターでも起こる現象です。
むち打ちは早急に治療すれば良いのですが、症状がないと放っておいたり、病院などのシップや電気治療のみですと筋に老廃物が溜まり続けて固くなってしまうのです。
その結果、頸肩が凝ってしまい、脳への血流が阻害されてしまい頭痛、めまいなどの自律神経症状を引き起こします。
頭部への傷跡も侮れません。
昨今はDVとかで子供のころに頭をたたかれて頭蓋骨が陥没しているような患者さんも見かけます。
子供のころならまだ頭蓋骨は柔らかい状態なので強い衝撃で凹みやすいのです。
凹んだ部分に老廃物が溜まってしまい、頭皮の「凝り」となります。
頭の傷跡に沿って痛みを発生する患者さんも多くいるのです。
特に静脈血が流れにくくなりますので老廃物が溜まりやすくなります。

次に多いのが 開腹手術の経験がある患者さん です。
お腹に手術痕がありますと周囲の筋肉を引っ張ったり巻き込んだりして固くしてしまいます。
不妊症や婦人科疾患の大きな原因となってしまいます。
このように傷跡や手術痕は出来てしまえばどうしようもありませんが、早めの対処で傷跡を柔らかく、小さくできるので血流障害の被害を最低限に抑えることも可能です。
その他の「凝り」が出来る原因
その他、筋肉に「凝り」が発生しやすい原因には、栄養状態が悪い、休息不足 (睡眠不足、使い過ぎ)、年齢などが考えられます。「凝り」には重症度があります
「凝り」には重症度があります。「凝り」とは筋肉中に溜まった老廃物の事なので、溜まった老廃物がどれくらい多いのか?で重症度が決まります。
しかも老廃物が多く溜まってくると古い老廃物は体の奥深くに沈んでしまい、新しい「凝り」が表面に積み重なっていきます。
まるでミルフィーユのように重なっていくのです。
さらに量が多くなると硬さもどんどん硬くなります。
最終的には岩のような硬さの「凝り」にまでなるのです。
体内にどれくらいの量の老廃物が溜まっているかは測定しようがありませんが、基本的に鍼治療を施してみて太い鍼を打っても痛みを感じないようでしたら大量の老廃物が潜んでいると考えております。
軽症者ほど老廃物は体表に存在しますのでマッサージや整体などの手技、または整骨院の電気治療でも治ることがあります。
重症者は深い位置に老廃物が大量に存在しますので鍼治療で筋肉中に直接刺激を加えないと老廃物がリンパに乗って流れてくれません。
ここで重要なのが老廃物の量と深さによって鍼の太さ、長さを変えていかなければならないのです。
アキュレではほぼ日本にある全種類の鍼を打てますのでどんな患者さんにも対応できるのです。
コリが引き起こす様々な症状
老廃物が溜まってしまいますと筋肉は固くなってしまい、周辺の血管や神経を圧迫してしまい様々な症状を引き起こします。神経を圧迫すれば痛みや痺れとなって感じます。
血管を圧迫すれば各組織に栄養分が行かなくなり、機能障害を引き起こします。
この現象が痛みや痺れなどの不調があっても西洋医学で異常なしと判断されてしまう原因なのです。
典型的な例が以下です。
・頸の凝りからくる症状
頭痛、めまい、耳鳴り、自律神経症状
・肩凝りからくる症状
首コリからくる症状に加えて手の痺れなどの腕の症状
・胸の凝りからくる症状
呼吸がしにくい、心臓があおる
・背中の凝りからくる症状
胸コリの症状に加えて胃の調子が悪い
・お腹の凝りからくる症状
胃腸症状、婦人科症状(生理痛、不妊)、るい痩
・腰の凝り
腰痛、足の痺れ、胃腸症状、婦人科症状
不定愁訴の感じ方は患者さんそれぞれで症状に対する感じ方もバラバラですので実に色々な症状を訴えてくるのです。
上記はほんの一例です。
このように「凝り」によって血流障害を引き起こし、様々な症状が出ますが、この状態はまだ西洋医学の病気の範疇ではないのです。
ですから西洋医学では対応できないのです。
しかしこの状態が長く続きますといずれ癌、脳卒中、心臓疾患、胃潰瘍などの細胞自体の変化に繋がり病気になってしまうのです。
不定愁訴の状態のときに筋肉中に溜まった老廃物を速やかに体外に排出し、元の柔らかい筋肉に戻すと様々な不調から解放され、病気の予防にも繋がるのです。
