2-1-2 中国三千年の伝統医学との比較

鍼灸の理論は中国の三国志の時代西暦200年頃には完成していましたから驚きです。

しかし当時の医療家の方達はまだ西洋医学的な解剖学や生理学の知識がなかった為に気と言う目に見えないエネルギーを考え出したのです。

そしてこの気の流れが滞る場所を経穴と言い、各経穴を結んだ道すじを経絡と呼んだのです。

気が滞ったり、流れなくなると病気が発生すると考えたのです。
しかし、この気という目に見えないエネルギー論が東洋医学を非常に分かりにくいものとしてしまい、ともすると怪しい宗教に間違えられやすいものとしてしまっているのです。

「気」と共に鍼灸治療を代表する言葉でツボ(経穴)というものがあります。
身体中のいたるところにあるとされるツボを刺激して気の流れを整えると病気が治ると言うのが鍼灸治療の基本的な理論です。

ではそもそもツボとは如何なるものなのでしょうか?
人間は日々代謝をして生き続けています。それは食べ物を摂取し、それをエネルギーとして生命活動を行い、その結果生みだされる老廃物を汗、小便、大便として体外に排出されるのです。

この代謝の一連の過程がスムーズに流れて行けば健康な肉体を維持出来るのですが、老廃物が上手く体外に排出されないと身体の調子が悪くなってしまうのです。

この老廃物(特に尿の成分が)が体中の筋組織に溜まってしまい、コリとなって様々な症状を引き起こしてしまう事は前述した通りなのです。

この老廃物は全身の筋肉中の至るところに溜まるのですが人体の中で特に溜まりやすい箇所をツボと言っているのです。

つまり疲労を起こして老廃物が溜まりやすい箇所をツボと命名して治療の指標にしたのです。

そしてこのツボに溜まった老廃物の事を「気」と表現して老廃物が流れる道筋の事を「経絡」と表現したのです。
「気の流れ」とはリンパの流れという事になります。

ですからツボの位置は人によって全然違いますし、あくまで目印にしか過ぎないのです。

昔の中国人は生理解剖学的な知識が殆どないのに、感覚的に人間の代謝を理解して血液やリンパの流れを良くして病気を治そうとしていたのには驚きです。

2020年08月25日