5-5 治療の回数が足りているか?
治療回数は患者さんにとっても大変重要な問題となります。
何回位で直るのでしょうか?とよく質問されるのですが、最短で治しますと説明します。
鍼灸治療は鍼の刺激で老廃物を排出することなのですが、そもそもどれくらいの量の老廃物が筋組織中にあるのか?
深さはどれくらいなのか? 患者さんの代謝は?などが我々にはやってみなくては分からないからなのです。
老廃物はレントゲン上にも映りませんから重症度が判定のしようがないのです。
つまり症状が改善する回数は次の要因で決まると思います。
1 コリがどのくらいの量溜まっているのか?
2 コリの位置がどれくらい深いか?
3 患者さんの老廃物排出能力は?
4 治療家の腕
1 コリがどのくらいの量溜まっているのか?
コリは筋肉に溜まった老廃物の事ですが、この量が問題となるのです。
コリは量が多くなると密度が高くなり、凝縮しますのでどれくらいの量が溜まっているのかはそれこそ個人差がありますので分からないのです。
2 コリの深さは?
コリの量が例え多くても深さが比較的浅くて体表近くですと、マッサージなどの手技で改善するのですが、コリが深い位置に入りますと鍼治療でなければ治りません。
さらに鍼治療でも短い鍼しか打てない先生では刺激が奥深くまで到達しませんので改善しないのです。
3 患者さんの老廃物排出能力は?
患者さんの自然治癒力とは筋肉中に溜まった老廃物をスムーズに体外に排出出来るかに掛かっています。
この老廃物を体外に排出する能力は個人差が激しいです。
鍼灸治療に来る患者さんはなかなか筋肉中の老廃物を排出出来ません。
ですから筋肉のコリとなってしまい、固くなってしまうのです。
筋肉が固くなりますと疲労が溜まりやすくなりますし、ケガの元にもなりやすいのです。
スポーツの世界でプロになったり、オリンピックに出場できるような人は筋肉中の老廃物を速やかに体外に排出出きるために、どんなにハードトレーニングを積んでもケガや疲労をお越しにくいのです。
こういう体質が所謂身体的な能力ですので、後天的には獲得出来ないものなのです。
運動神経だけでは一流の選手になれない所以がこの老廃物排出能力が低いためなのです。
4 治療家の腕
患者さん側からしますと治療家の腕はみんな一緒だと思っているかもしれませんが、そんな事はありません。
マッサージや整体の手技療法ではそんなに差がないかもしれませんが、鍼治療は人体内部に鍼を刺すわけですから大変難しいのです。
治療箇所、鍼の太さ、長さなど様々な患者さんに合わせなければなりません。
その為に多くの臨床体験を積まなければなりません。
実は鍼灸治療の教育の中でこの臨床体験が一番問題なのです。
西洋医学では医学部を卒業した後にインターン制度により全ての学生に一定の臨床体験が積めるのですが、鍼灸治療にはそれがありませんので自分で先生を探して経験を積まなくてはなりません。
更に鍼灸治療は西洋医学のように理論が統一されていませので、各先生方の治療理論が全く違ったりするのです。
このような事から先生方の腕にもの凄い差が出るのです。
以上の4つの要因で治療回数が決まって来ます。
なかなか治癒しない患者さんは上記の条件にあっていても治療回数が足りない可能性があります。
他人と比較して、これくらいで直るだろうと患者さん自身で治療回数を推測する方がいらっしゃいます。
治らないとすぐに治療院を変更するかたもいらっしゃるのである程度治療に時間をかけないと結果が出ないときもあるのです。
これだと思った治療院に出会ったらトコトン通うのが治癒への最短の道なのです。