生理痛(月経困難症)とは?

症 状


月経直前または月経開始とともに症状が出現する。

・下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛などが強く認められる

病 態


・機能性と器質性とに分けられる。

1 器質性

子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因となる。

無月経でも起こりうる。

月経4~5日前から持続性の鈍痛が続く。

2 機能性

原因がない。

無排卵では通常起こらない。

月経の1~2日目に症状が強く一日で緩解するものが多い。

妊娠・分娩を経験すると症状の改善消失を見ることが多い。



治 療


器質性の物に対しては原因疾患の治療。

機能性に対してはプロスタグランジン(注1)が多量に分泌されることにより子宮筋を過度に収縮させ、血管の攣縮や子宮筋の虚血などを引き起こすことによって本性が生じると考えられている。

このためプロスタグランジン合成阻害作用のあるNSAIDsを使用。


(注1)

プロスタグランジンは、人間の体内の様々な組織や器官に存在する、ホルモンに似た働きをする生理活性物質です。
プロスタグランジンにはいくつか種類があります。
その中でも「プロスタグランジンF2α(PGF2α)」、「プロスタグランジンE2(PGE2)」、「プロスタグランジンE1(PGE1)」は、子宮を収縮させ、不要になった粘膜を血液とともに体外にスムーズに押し出す働きがあります。
このときプロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮が強く収縮し、下腹部痛など生理痛の要因となります



鍼灸治療での生理痛(月経困難症)に対するアプローチ

女性にとっては月に一回の生理の期間だけでも憂鬱な時間なのに更に痛みまで伴ってはたまったものではないでしょうか。

この生理痛は経血が体外に排出されにくいために起こるものです。
便秘と同じ現象と思って下さい。

西洋医学では痛み止めやホルモン剤などの対症療法しかありません。

しかし表題にある通り、お腹に溜まった汚血を体の外に出してしまえば治っていくのです。
生理痛は長期にわたると不妊症や女性器疾患の原因となりますので放っておくと大変な事になります。

なるべく早めに対処したいものです。

 

鍼灸治療での生理痛の病態


 姿勢の悪いことで骨盤がゆがむ

 骨盤が歪むことによって月経時に子宮に力が入りにくい状態になり、子宮内膜が排出しにくくなる。

 子宮内膜が排出されないので子宮が過度に収縮して内膜を排出しようとする

 子宮筋の過度の収縮によって痛みが発生し、更に内膜は圧の低い卵管の方に押し出され、卵管采から腹腔に排出される。

 腹腔に排出された内膜は汚血となって周囲の臓器や腹膜と癒着を起こし、更なる痛みを発生させる。

 子宮筋の過度の収縮とそれに伴う汚血の腹腔内での癒着で痛みの連鎖が起こってしまいます。



治 療


① 骨盤の歪みの解消

骨盤の位置が正常でないために生理の時うまく力が入らずに経血が体外に排出できなくなるのです。

これは便秘と一緒でうまくいきむ事が出来ないために起こる現象です。

力が入らない主な原因が仙骨の後方変異です。

下図が仙骨です。


そして左右の股関節とのつなぎ目が仙腸関節と呼ばれる関節です。

この仙骨が後方にずれますと所謂腰が入っていない状態になり、力が入らなくなるので生理の経血が体外に排出されにくくなるのです。
便秘も同じ現象です。

下図が実際に仙骨が後方にずれた図です。

所謂へっぴり腰の状態になってしまい、腰全体にも力が入らなくなのです。


この仙骨を前方(お腹側)の正常な位置に戻すことによって子宮が働き、正常な生理が来るようになるのです。



② 汚血解消の鍼


生理痛が激しい人は生理の経血が体外に排出されずに腹腔の中に溜まってしまう現象がおきます。

下図のように卵管を通って子宮内膜が腹腔に排出されますので、生理中のお腹の中には子宮内膜を含んだ血液が溜まってしまうのです。

それで、お腹、または腰が痛い、あるいはだるくなるのです。

子宮内と違って、お腹の中の血は逃げ場がありませんから、古くなるとドロドロになって骨盤内の臓器どうしを癒着させます。

この生理で逆流した血液が腹腔内で留まっている状態が汚血なのです。



この汚血は内膜症やガン、不妊の原因となるために早急に排出しなくてはなりません。

骨盤への鍼治療と下腹部への鍼治療で早ければ次の生理のときに体調の経血が体外に排出されるのです。