
子宮内膜症とは?
何らかの原因により、子宮内膜の組織が子宮腔内面(子宮の外側)に生じた疾患で子宮周囲(ダグラス窩、卵巣、腹膜)に発生する事が多く、疼痛、不妊の症状が現れる。
という風に西洋医学で定義しています。
東洋医学では私が常々提唱している「汚血」現象が原因なのは明白です。
通常子宮から剥離した内膜組織は死んだ細胞ですので卵管から逆流して子宮外に出ても増殖しないはずです。
これを「汚血」と呼んでいて全ての婦人科疾患の原因となるものです。
この「汚血」がたまたま活性化して増殖し始めるものを子宮内膜症と呼んでいるのです。
症 状
・月経痛(月経を重ねるごとに増強する)
・慢性骨盤痛(下腹部痛、腰痛)
・性交痛、排便痛

病 態
20~40代の女性に好発
子宮内膜様組織が子宮腔内面以外に生じた疾患。
好発部位
1.ダグラス窩
2.卵巣
3.子宮漿膜
4.その他(卵管、子宮膀胱窩、仙骨子宮靭帯、直腸膣中隔)
下図のような場所に溜まりやすいのです。

子宮内膜症、三つの主要病態
・腹膜病変
表在性で腹膜に月経血が点状に散らばる。
徐々に病変が広がり、数が増え、癒着
・卵巣チョコレート嚢胞
卵巣に発生した子宮内膜様組織により、月経のたびに赤血球の滲出や貯留が起こる。
剥離組織は排出されないため、卵巣は腫大する。

・ダグラス窩閉塞
ダグラス窩に存在する子宮内膜様組織により、子宮後壁と直腸壁の癒着が起こるため、ダグラス窩が閉塞する。
ダグラス窩に汚血が溜まると生理痛が腰に現れやすくなり、反対側の膀胱子宮窩に溜まると下腹部痛が現れやすくなる。
子宮内膜症に対する鍼灸治療のアプローチ
子宮内膜症で病院での診断で手術の適応症となれば鍼灸治療の適応外となりますが、薬物療法や痛み止めなどの対症療法のときは鍼灸治療が効果的です。
骨盤や下腹部に鍼刺激を加えることによって子宮内膜様組織(汚血)を体外に排出させることを目的とします。
不妊治療の経験上、鍼治療によって早ければ次の生理時に大量の経血が排出されます。
生理時でなくとも鍼灸治療後に出血がある場合がありますので不正出血と思い、病院での検査を受けた患者さんもいます。
当然異常なしとの診断結果となります。
次の生理での出血が見られなくても続けて治療を繰り返す事によって体外に排出されるようになるので根気よく治療を続けるのがポイントです。
生理で「汚血」が体外に排出してしまえばひどい生理痛もなくなりますので、ここが治癒のポイントになるでしょう。
子宮内膜症の原因となる「汚血」の詳細は下記のリンクから参照してください。
更にその「汚血」が子宮腔に溜まってしまう原因である子宮の位置異常についても下記リンクより参照してください


子宮内膜症のもう一つの原因
子宮内膜症に限らずに婦人科疾患全体の原因があります。
それが女性ホルモンの異常です。
当たり前ですが女性は子供を産むために女性ホルモンの影響を障害にわたって受けることになります。
女性ホルモンがキチンと働かないと生理の時に子宮内膜を体外にうまく排出出来ない可能性もあるのです。
女性ホルモンの乱れは自律神経の乱れであり、もう少し詳しく説明しますと女性ホルモンは下垂体から放出されますので、視床下部ー下垂体系の異常によって起こります。
詳細は下記のリンクから参照してください。

まとめ
以上のように子宮内膜症とは体外に排出されなかった子宮内膜が卵管を通って子宮腔に排出されて、ダグラス窩や卵巣の中に入り込んで増殖してしまう病気です。
手術の適応以外は鍼灸治療の対象となり、その原因となる子宮の位置異常を改善して子宮内膜が生理時に正常に膣から体外に排出されるようになれば改善するのです。
早ければ次の生理時に大量の経血が排出されれば早期に改善されます。
子宮内膜症でお悩みの女性は鍼灸治療も一つの選択肢に入れてみるのも如何でしょうか?
1人でも多くの女性が子宮内膜症の苦しみから解放されることを願って止みません。