痙縮への治療
脳卒中の後遺症で一番生活に困るのが痙縮でしょう。
脳神経が障害を受けますと各関節や筋肉の屈曲と伸展のバランスが崩れてしまい、屈曲優位になってしまいます。
肩関節は内側に曲がり、肘は曲がってしまい、手首や指までもが伸びなくなります。
腰や股関節の動きは悪くなり 膝に力が入らず、足首は安定性を欠きます。
この状態は原因こそ違いますが、筋肉のコリにそっくりなのです。
コリをほぐして筋肉を柔らかくするには鍼以上に効果のある治療方法はないのです。
痙縮して硬くなった各筋肉や関節に鍼治療を施し、場合によっては鍼に低周波を流す治療もするのです。
通常の肩こりの患者さんよりは効果は低くなるのですが、直接筋肉や関節の靭帯に刺激を加えるわけですからマッサージやリハビリなどの手技よりは圧倒的に効果的です。
当院の患者さんでも初めて腕がまっすぐに伸びたことに相当な感激をしていました。
体がリラックスできないで固まっている状態がどれほど患者さんに大きなストレスを与えているのかを実感しました。
・肩関節痙縮の鍼
肩関節拘縮の鍼は五十肩の鍼治療と同様に肩関節周囲に刺鍼して関節の拘縮を和らげて可動域を広げる目的で行います。

・肘関節痙縮の鍼
肘関節が曲がったまま伸びない状態が一番つらい症状ではないでしょうか?
これには上腕二頭筋から肘関節へ繋がる靭帯を鍼治療で緩めることにより改善が見込まれます。

・手関節痙縮の鍼
手関節も屈曲して伸びにくい傾向にあります。手関節の背面に鍼治療することで伸びやすくなるのです。


・指関節痙縮の鍼
掌の指関節にこまめに鍼治療を行います。
指を伸ばすためには前腕の筋肉の痙縮も取る必要があるので、必要に応じて前腕の鍼治療も行います。


・膝関節痙縮の鍼
膝関節が伸びない、もしくは反張膝(膝を伸ばそうとするとカクッする現象)には大腿四頭筋の痙縮を改善すると膝関節の動きがスムーズになります。

・足関節痙縮の鍼
足関節は内反、尖足の傾向になります。
ここでは足関節とふくらはぎの鍼治療で足関節の痙縮を改善していきます。
ふくらはぎでは主にヒラメ筋が痙縮する傾向にあると思います。


・足指痙縮の鍼
足指は屈曲して伸びない傾向にあります。
足指に力が入らないと歩行のときに地面会を指で噛む動作が出来ないので歩行が不安定になります。
各趾関節に鍼治療することで趾関節の可動域が広がる可能性があります。

実際の治療の現場ではこれらの治療と脳の可塑性促進の鍼を組み合わせて行っていきます。
時間も限られた中での治療となりますので患者さんの意向を第一に踏まえながらどの治療を優先していくのかを話し合いながら進めていきます。