脳細胞可塑性促進の鍼
肩首のコリを取れば脳への血流が改善する
脳細胞の可塑性を促進する理論はそもそも何故脳卒中になるのか?という問題と大きく関係があります。
西洋医学では高血圧、食事、運動不足、喫煙、飲酒などがあげられ、中でも高血圧が一番の危険因子とされています。
もちろん、そういう原因もあるかとは思いますが、東洋医学的に見たら脳卒中の原因は肩首のコリです。
特に頸が凝ると脳への血液を供給している椎骨動脈と頸動脈をコリが圧迫して血流障害を引き起こします。
この肩首コリはいきなり脳卒中を引き起こすのではなく、最初に頭痛やめまいなどの自律神経症状が現れます。
この状態を痛み止めなどで押さえていると最終的に脳卒中になるとみています。
現実に脳卒中を引き起こした患者さんはもれなくひどい肩首コリがあるのです。
逆に言えば肩首コリを取れば脳への血流が改善しますので脳細胞へ十分な酸素と栄養を行きわたらせることができるのです。
その結果、脳の可塑性が促進されるのです。
肩首コリ治療のポイント
脳の可塑性を促進するポイントは脳への血流障害が原因ですので、肩首コリを解消するのが重要なポイントです。
それには脳への動脈である椎骨動脈と頸動脈の血流を意識して治療することが重要です。
☆脳への血流を改善する三つのポイント
1 後頸筋
2 胸鎖乳突筋
3 頭頚部境界線
1 後頚筋
椎骨動脈は頸の後ろを走行して脳底動脈に血液を送り込むルートです。
間脳や脳幹に血液を送っている動脈です。
間脳や脳幹に障害を受けている場合に有効な治療方法です。
椎骨動脈は頸の後ろの筋肉 板状筋 半棘筋などが硬直すると圧迫を受けて脳への血液がうまく回らなくなります。
ここに鍼治療を施して椎骨動脈の圧迫を解放させます。


後頸筋への治療は伏臥位が効果的です。
必要に応じて肩や背中への治療も加えます。
2 胸鎖乳突筋
胸鎖乳突筋は頸の横にある筋肉で頸の筋肉の中で最大の大きさの筋肉です。
この筋肉の真下を総頚動脈が走っています。
総頚動脈は内頚動脈と外頚動脈に分かれますが、内頚動脈が大脳に血液を送ります。
椎骨動脈よりも大きい血管ですのでより多くの血液を脳に輸送しているのです。
ここへの治療は大脳に障害がある人に効果的です。
この筋肉は後頸筋と違って横向きで治療しないと効果がありません。


胸鎖乳突筋への鍼治療は側臥位での治療が効果的です。
3 頭頚部境界線
頭頚部境界線は首と後頭部の境目の事です。
頸と後頭部の境目全体が硬くなって詰まってしまいますと頭と頸の隙間がなくなってしまい、脳への血流がストップしてしまいます。
それどころか脳からの静脈血も帰ってこなくなりますのでいつでも酸欠の血液が脳内に充満することとなるのです。
さらにここには環椎後頭関節と言って頭蓋骨と頸椎をつなぐ大切な関節もあります。
この関節が硬くなって頸の動きが制限されますと頸全体が硬くなって脳への血流を阻害します。
頭頚部境界線への鍼治療を施すことによって頸椎の動きを改善して脳への血流を促進するのです。

その他の脳細胞血流改善の鍼
脳の真上の中央部分に脳全体からの静脈血を一旦集める場所があります。
通常の静脈は基本的に動脈と平行に走行してしていますが脳の静脈は一旦、上矢状静脈洞や下矢静脈洞などに全部集まった後に内頸静脈に流れ込みます。
脳へ綺麗な動脈血を送り込むことも重要ですが汚い静脈血を頭から排出することも重要なポイントとなります。
いつまでも汚い血液が脳の中に充満していますと活性酸素が発生してしまい、脳の可塑性を阻害する恐れがあります。
当然上記の首肩治療が一番重要となりますが、上矢状静脈洞は頭蓋骨のすぐ真下を走行していますので頭皮への鍼治療も一定の効果を出します。
この治療方法あくまでもサブとなります。


以上の三つの治療ポイントを踏まえて患者さんに合った治療法を選択していきます。
繰り返しますが脳の可塑性を促進するには肩首のコリを取って脳への血流を改善するのが最善の方法なのです。
