精子の質向上の鍼治療
精子の質の向上の決め手は自律神経の調整と骨盤周囲の治療です。
これは女性と同じく脳への血流促進と骨盤内の血流促進が目的なのでほぼ同じ治療方法となります。
自律神経調整の鍼
女性と同様に視床下部ー下垂体系が精子形成をコントロールしていますので自律神経が乱れますと精巣の機能が低下して精子の質が落ちます。
視床下部ー下垂体系がうまく機能しなくなるとFSHとLHの分泌がうまくコントロール出来ず、精子の形成にも異常をきたすのです。
その結果、質の良い精子が作られないのです。
この視床下部は自律神経のコントロールタワーであり、なおかつ非常に繊細な部分でもあるので、少しでも酸素が不足してしまうとすぐに自律神経系が乱れてしまい、自律神経失調症を引き起こすのです。
自律神経と男性ホルモンの関係
それではまず、視床下部ー下垂体ー卵胞のホルモンの関係を下図を参照にしながら簡単に説明致します。まず最初に大脳視床下部から 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が放出され、これが脳下垂体の卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の放出に影響を与えます。
LHは精巣のライディッヒ細胞に働きかけてテストステロンを分泌させます。
FSHとライディッヒ細胞から分泌されたテストステロンはセリトリ細胞を活性化し、これにより精子形成が促進されます。
以上の事から視床下部ー下垂体系の機能がうまく働かないと精子の形成に大きく影響するのです。
西洋医学でも男性不妊の一番の原因に造精機能の低下をあげていますが、明確な原因がない限りこの視床下部ー下垂体系の機能障害が大きな原因なのです。

自律神経の乱れは脳の疲労です。
自律神経の乱れは脳への血流不足です。脳は莫大な酸素を消費しますので少しでも血流が悪くなると酸素と栄養不足で機能低下を招くのです。
加えて現代人は大きいストレスの晒されていますので脳は疲弊しきっています。
脳への血流不足の原因は肩首コリです。
肩首凝りが脳への血管を締め付けてしまい、血流を阻害してしまうのです。
自律神経の鍼治療の詳細は以下のサイトを参照してください。

骨盤周囲の血流促進の鍼
特に腰痛を持っている方は決定的です。
精巣に行く動脈は精巣動脈が栄養と酸素を送っていますが
この精巣動脈は大体臍の高さから始まり、下腹部を通り過ぎ鼠径部をくぐって精巣に到達するのでかなり 長いルートを辿っています。
このルートには 下腹部と腰部が関わっています。
特に腰痛持ちの男性は要注意となるでしょう。
最近の男性は座り仕事が多く、運動不足も重なって 下腹部の血流が悪くなっています。



精巣への血流を改善するには精巣動脈から精巣へ行くルート上のツボを刺激して治療します。
以下のツボの中から反応のあるツボを選定して治療を施します。
男性陣は痛みに弱い傾向がありますのでどうしても鍼治療が怖い人は下腹部の鍼治療はしなくても骨盤の治療だけでも効果はあります。
あくまでリラックスしないと治療の意味がありませんのでご安心してください。
下腹部のツボで重要となるのが 天枢、外陵、大巨、水道、帰来、腹結、府 舎 などで、触診して硬結のある所に取穴して治療します。

精巣の血流改善には骨盤側からの刺激も必要となってきます。
東洋医学には 背中側のツボとお腹側のツボを挟み込むように治療すると内臓の血流が改善される という理論があります。
基本的には股関節周囲のツボを使用して大殿筋、小殿筋を刺激すると精巣動脈の血流が改善されます。
胞肓(ほうこう)、秩辺(ちっぺん) の ツボがメインとなってきます。
仙腸関節や仙骨上のツボの刺激も効果的です。

普段から腰痛持ちの方は腰痛治療が必須
骨盤周囲の鍼治療は腰痛の治療とも重なりますので普段から腰痛もちの男性は腰痛治療が必須となります。
男性が重度の腰痛持ちの患者さんが腰痛治療しただけで妊娠した症例もあるくらいです。
腰痛の鍼治療のサイトも参照してください。
